株式会社はてな(3939)の第25回定時株主総会が本日(2025年10月24日・金曜日 10:00~)に開催され、出席しました。
新型コロナ流行以降、保有株の株主総会にはほとんど出席していなかったので久しぶりの参加です。はてなの株主総会に出席するのは今回が初めてでした。
今回の株主総会では、会計処理・IR対応・株価下落への責任など、実務面での透明性を問う厳しい質問が相次ぎました。社長は率直な姿勢を見せつつも、一部回答が曖昧で「説明責任の不十分さ」を指摘される場面もありました。僕が以前出席した他社の株主総会と比べても、かなり厳しい質問が多かった印象です。
主な質疑応答(事前質問を含む)と僕の感想を以下に記します。発言内容などは僕の記憶に基づくため、あいまいな部分もあるかもしれません。
株価低迷と上場維持基準について
- Q: 株価がグロース市場の上場維持基準(時価総額40億円)を下回っている件について
- A: 2026年7月期末までに増収増益を見込んでおり、IR活動の強化にも努めるとのこと。加えて、2030年3月以降の新基準(時価総額100億円)も視野に入れ、適切な市場選択を検討しているとの回答でした
- 僕としては、40億や100億は“ラッキー”がないと難しいと思うので、スタンダード市場へ移行するのではと感じました
中期目標「売上50億円」延期の理由
- Q: 前回総会で2027年7月期達成としていた目標が、1年先送りとなった理由
- A: 漫画サービスのレベニューシェアのボラティリティにより進捗が遅れたとのこと。出版社と共同で広告費を一部負担するなど、リスクを取って成長加速を図る方針に変更したとの説明でした
- 対策の効果は微妙だと感じましたが、ボラティリティが原因なら、対策と無関係に改善する可能性もあると思いました
広告単価下落と生成AI活用
- Q: 広告単価の下落が続く中、生成AIとの提携による収益化の構想は?
- A: 具体的な契約先は非公表だが、生成AIベンダーとのデータ提供連携を検討中。「日本語の長文テキスト資産」を活かし、AI学習データとして価値を発揮できる可能性が高いとの回答でした
- 回答中でも触れられていましたが、たしかにXなどと比べて長文テキスト資産を持っていることは強みです。ただ、それを一過性の利益でなく継続的な収益源にできるかが鍵だと思いました
交際費の水準
- Q: 交際費の金額と内容を明示してほしい
- A: 2025年7月期の交際費は約800万円で、主にリモートワーク下での社員交流イベントや全社集会などに充当しているとのこと
- 僕としては、リモートワーク推進の観点からある程度は仕方ないと思いましたが、他の株主からは「福利厚生費で処理すべきではないか」「開示を継続してほしい」との指摘がありました
会計注記・開示の不備指摘
- Q: 防衛特別法人税などの税制改正の注記が欠けている。財務諸表の信頼性は大丈夫か?
- A: 漏れの可能性は認めるが、影響は軽微と判断している。必要があれば訂正を行うとのこと
- 「ミスが一切ないと断言はできない」という社長の発言には、会場に驚きと緊張が走りました
- 僕は実務の細部まではわかりませんが、「ミスが一切ないと断言はできない」と社長が言うのはやはりまずいと思いました。エンジニアには100%断言しない習性がありますが、上場企業の社長である以上「訂正が必要なレベルのミスは絶対にないよう最善を尽くしている。もし見つかったら責任を取る」くらいは言ってほしいと思いました
IR活動と機関投資家訪問
- Q: 株主との対話を重視すると言いながら、社長自身が機関投資家を訪問していないのはなぜか
- A: ここ数年は訪問していない。IR担当役員と専任スタッフが対応している。社長にもタイプがあり、自身は事業と新規開発に集中する方が会社の成長に資すると考えているとの回答でした
- 頻繁に細かい対話を行う必要はないと思いますが、事業と新規開発に集中している社長だからこそ語れるビジョンを、年1回程度は機関投資家向けに発信する機会があっても良いと感じました
海外展開と漫画コンテンツ
- Q: 漫画ビューアを活かし、日本のコンテンツを海外展開する構想は?
- A: 集英社など大手が翻訳・海外配信を先行している。当社は現時点で直接関与していないが、協業の余地はある。AI翻訳や低コスト化が進めば、出版社と連携して展開する可能性を探りたいとのこと
- 国内だけでは長期的な成長余地は限られるため、はてなは資金に余裕があるうちに、この分野の新規開発にもう少しリソースを割いてほしいと感じました